われわれは一人ひとり自分の世界を生きている。歴史や社会という文脈の中に生まれ、他者と共同する価値観や感受性はあるが、それでも固有性を持つ。フェティシズムや世界像は誰ひとりとして同じではない。

今の時代はまだ、こうした一人ひとりの個性が十分に発揮できない。人それぞれ何かしらその人だけの固有があるということは、他の人が知らないということだ。他の人が知らない世界について知っている。外国語の翻訳のような高度なことでなくてよい。地元のラーメン屋について詳しいとか、ニート生活5年がどういうものか、とかどんなに小さなこと、無価値に見えることでもいいのだ。

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さて、以下、筑波大学助教授の落合陽一さんとホリエモンの対談内容。いずれみんなが好きなことをして生きるという未来の話。

落合:いずれ、みんながエンターテイナーやアーティストになる。「そんなの自分には無理だ、エンターテイナーにはなれないよ」と思う人も多いだろうけど……。

堀江:絶対なれる! 俺、ヒモデブニート(※注)に「芸人を名乗れ」というミッションを与えたの。彼はいま「ヒモデブニート芸人」と名乗っている。そうしただけで、なんかバリューが上がった気がするでしょ?

【※注:堀江氏が運営するているHIU(堀江貴文イノベーション大学校。会員制のコミュニケーションサロン)の会員の通称“彷徨うヒモデブニート”氏のこと。仕事もなくてぶらぶらしてた不器用な若者】

落合:いつでもテレビに出られますね(笑)。 たしかに、誰にでも何か才能があるはずなんですよ。大学で学生と話していても、最初は何もやりたいことがないと言うんですが、半年ぐらいすると「実は音楽が好きで」とか言い出す。そこから独自のテーマが見つかったりするんです。自分ひとりぐらいならそれで食っていける。

堀江:知り合いに「アイスマン福留」という人がいます。40歳近くまで職を転々としてきたんだけど、最終的に落ち着いた仕事は「コンビニアイス評論家」。アイスマニアというだけなんだけど、けっこうテレビに出ているからね。

落合:たとえば商社などに勤めていたら、「芸人」になれる人は大勢いると思いますよ。接着剤の営業だけ10年やっていたという人もいる。そんな人は「接着剤芸人」になれますよね。

堀江:ミニマムな暮らしさえ受け入れれば、それでやっていける社会に変わったんです。肉を焼くのがものすごく得意なら「バーベキュー芸人」でいい。100人のコミュニティに1人くらいなら、たぶん成り立ちますよ。
http://news.livedoor.com/article/detail/12856473/

一人一宇宙であることを誇りに、自分だけが詳しいこと語ろう。

羽生名人、イチロー、錦織圭はみんな分かりやすい1つの領域にコミットできた。もちろんそこには悪戦苦闘があったはずで、継続した意志には敬服せざるをえない。でも、みんながみんなそういう登る山にコミットできるわけではない。

社会的にみれば何もできなかった人々は無数にいる。こういう人たちに何とか価値を見出すことは社会的に重要である。もちろん、僕らはみんな生存するために努力がまだ必要な時代にいる。社会的に無能な人間は、積極的に自分の経験が何か社会に貢献できるかを見出し、発信していくべきだ。

これからは、自分の好きなことをやるだけで、それが社会的に認められ、物語として承認される時代になる。今までは、業界や職種により一般的な世の中の「視点」が存在していた。しかし、これからは技術革新など環境の変化で誰もがWINWINになれる。

人はみな固有の経験をして育ち、自分だけの感受性を磨き、世界像を作る。これまではその物語を妥協して、社会一般に合わせる必要があった。それが就職である。しかし、これからはその物語をそのまま発展させて自分独自の物語を歩むことができる。これまでであれば誰からも承認されず、自我(物語)は安定する機会がなかったが、これからは今だに残る大きな物語(先の世間の視点)が解体され、個々の物語に重心が移っていく。

フロイト的に言えば、われわれはみな、幼少期の全知全能に回帰したいと願う。しかし、現実世界では同じようにそうしたベクトルを持つ他者と利害調整をし、現実法則に従う必要がある。今後は、こうした調整がもっと寛容になる。互いに承認の椅子取りゲームをしなくても、本来持つ感受性に沿って人を評価し、自分を発揮しているだけで、全知全能への回帰への欲望をまとめることができる。

こういう時代への移行には何をすればいいか?

一人ひとりが、包み隠さず自分を表現し発信することが大切だ。ニートだろうが、犯罪者だろうが何でもいい。自分の固有の経験をもっと発信すべき。僕らは同じ人間という生物の身体を共有しているのだ。誰かしらの共感を得るはず、徐々にそこから物語を固めていけばいいのだ。

youtubeやブログからはじまり、今ではライブ中継やオンライン決済も簡単にできる。 どんどん個人がエンパワーメントされている。自分固有の能力を提供し、それを糧に生きていけるのだ。全世界で個人レベルでのクラウドソーシングは増々増えていくであろう。繰り返しになるが、われわれがすべきは自分の固有の経験や能力を明確化し、発信することである。